緩衝液と溶解平衡

緩衝液

弱酸(弱塩基)とその塩の混合水溶液。少量の酸や塩基を加えても、水で薄めても溶液のpHはほとんど変化しない。

〈例〉CH3COOH+CH3COONa(pH4.7)
NH3+NH4Cl(pH9.5)
〈例〉0.1mol/ℓ酢酸水溶液1ℓに、酢酸ナトリウム0.1molを溶かしたとき(体積は変化しなかった)の[H]の求め方
(25℃でのKa=2.8×10-5〔mol/ℓ〕)
CH3COOH ⇄ CH3COO+H

Ka(電離定数)= [CH3COO][H+][CH3COOH]

∴[H] = [CH3COOH]Ka[CH3COO]\dfrac{[\mathrm{CH_3COOH}]Ka}{[\mathrm{CH_3COO^-}]} = 0.1×2.8×1050.1\dfrac{0.1 \times 2.8 \times 10^{-5}}{0.1} = 2.8×10-5〔mol/ℓ〕

(この緩衝液では、酢酸がほとんど電離せず、酢酸ナトリウムがほぼ完全に電離するため、[CH3COOH]=酢酸のモル濃度、[CH3COO]=酢酸ナトリウムのモル濃度となる)

塩の水溶液のpH

 弱酸と強塩基、または弱塩基と強酸からなる塩の水溶液では、塩を構成する弱酸の陰イオンや弱塩基の陽イオンが水と反応し、OHやHを生じ、塩基性あるいは酸性を示す(塩の加水分解)。

〈例〉c〔mol/ℓ〕のCH3COONa水溶液のpH
CH3COO+H2O ⇄ CH3COOH+OH
Kh=[CH3COOH][OH][CH3COO]=[CH3COOH][OH][H+][CH3COO][H+]=KwKaK_h = \dfrac{[\mathrm{CH_3COOH}][\mathrm{OH^-}]}{[\mathrm{CH_3COO^-}]} = \dfrac{[\mathrm{CH_3COOH}][\mathrm{OH^-}][\mathrm{H^+}]}{[\mathrm{CH_3COO^-}][\mathrm{H^+}]} = \dfrac{K_w}{K_a}

(Kh:加水分解定数 Ka:酢酸の電離定数 Kw:水のイオン積)
[CH3COOH]=[OH]、[CH3COO]≒[CH3COONa]=c〔mol/ℓ〕より、

[OH]=cKwKa[\mathrm{OH^-}] = \sqrt{\dfrac{cK_w}{K_a}}

[H+]=Kw[OH]=KaKwc[mol/L][\mathrm{H^+}] = \dfrac{K_w}{[\mathrm{OH^-}]} = \sqrt{\dfrac{K_a K_w}{c}} \, [\mathrm{mol/L}]

∴pH= log10KaKwc-\log_{10}\sqrt{\dfrac{K_a K_w}{c}} = 12log10(KaKwc)-\frac{1}{2}\log_{10}\left(\dfrac{K_a K_w}{c}\right)

溶解平衡

塩化銀は難溶性のイオン結晶であるが、水にごくわずか溶けて次の溶解平衡が成り立っている。

AgCl(固) ⇄ Ag+Cl

このとき温度が一定なら、溶液中の[Ag]と[Cl]は一定であり、その積は一定となる。

Ksp = [Ag][Cl]

Ksp溶解度積といい、難溶性のイオン結晶がどれだけ水に溶けるのかの目安になる。溶液中の[Ag]と[Cl]の積がKspを超えると、AgClの沈殿が生じる。

共通イオン効果…ある電解質の水溶液に、その電解質を構成するイオンと同じ種類のイオン(共通イオン)を加えると、元の電解質の溶解度や電離度が小さくなる現象。

〈例〉NaClの飽和溶液(NaCl(固) ⇄ Na+Cl)に濃塩酸HClを加えると、NaClが析出する。

【問題1】次のうち、緩衝作用を示す水溶液として最も適切なものはどれか。

【問題2】難溶性塩 AgCl の溶解平衡において、AgCl飽和溶液の濃度を s (mol/L) とするとき、溶解度積 Ksp の式として正しいものはどれか。